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高齢者・障害施設での集団感染を防ぐために

2021年7月26日

 

<経歴>

・2004年横浜市立大学医学部卒業

・2010年横浜市立大学附属血液リウマチ感染症内科で勤務

・2013年横浜市立大学附属市民総合医療センター感染制御部

・2017年より横浜市立大学附属病院感染制御部・部長

 

 感染症は子どもからお年寄りまで、人間である以上どこかで一度はかかる病気の一つです。市中で生活している方だけでなく、入院中の方や施設にいる方でも起こりえます。どのような場面においても質の高い感染症診療、感染管理を多くの方に提供できるよう努力しています。

 

 医療の進歩の歴史は、感染症の克服の歴史でもあります。抗生物質(抗菌薬)が発達し、衛生管理が改善することで平均寿命が延び、生活の質が改善してきました。しかし、現在、抗菌薬の効かない薬剤耐性菌の出現、国や地域を越えて広がる流行性ウイルス感染症など私たちはふたたび感染症の脅威に直面しています。日本では1980年代よりMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)という耐性菌が主に病院内で広がりました。抗菌薬の適正使用や手指衛生の改善によってMRSAの出現頻度は減っていますが、最近では究極の抗菌薬であるカルバペネム系に耐性のCRE(カルバペネム耐性腸内細菌目細菌)の出現が世界的に問題になっています。また2020年初頭から日本で流行している新型コロナウイルスは人の会話や食事の機会に感染が拡大する性質があり、多くの対策や知見が得られるようになった現在でも流行の沈静化の見通しは立っていません。これらの対応として、すべての方に対して一定の感染対策(標準予防策)を行いつつ、必要に応じてより高いレベルの感染対策(感染経路別予防策)を組み合わせます。これらの感染対策をルールやマニュアルに書くだけではなく、医療、介護の現場ですべての職員が行っていくことが大切なのです。

 

 医療(病院)と比較して、介護の現場で感染対策を行うのは時として困難を伴います。また、医療(病院)とは異なり、より利用者の方の生活の場に近く、職員と利用者が近い距離で長時間接します。その他にも、使用できる資材に限界があるということもあります。このように、介護の現場は病院と比較して医療物資が限られ、かつ、病院で行えるような検査施設も介護の現場では持っていません。そのため、医療現場で行っているような感染対策や重装備の防護具を介護の現場でそのまま行うことは現実的ではありません。

 若竹大寿会では、 2020年に新型コロナウイルスが流行後より、横浜市全域に関連施設を持つ法人として、入所、通所、リハビリなど多くの場面を想定して、マニュアルの作成や研修会の実施を行い、より質の高い感染対策を提供しています。限られた医療資源・困難な環境の中で、どのように感染症対策をするか、を現場の医師、看護師、介護職の職員の方々とともに繰り返し、話合ってきました。

 結果として、若竹大寿会では以下により、他の施設ではできない質の高い感染対策をもとにしたサービス提供がされ、集団感染が発生しておりません。

①多くの専門家による研修会の開催

②最新の感染症対策が記載されたマニュアルの作成

③施設で感染した方が発生した場合に現場で迅速かつ・的確に対応できるマニュアルの作成

④職員の日常生活の指導

 ただし、現場と乖離した規則やルールではなく、決して無理なことはせずに、かつ本来の介護の視線を忘れないように、可能なかぎり多くの場面で、すべての職員が実践できるような対策をしています。

 もちろん、新型コロナウィルス感染症に関わらず、薬剤耐性菌の対策など専門的な対応が必要と思われる場合には、地域の大学病院として実地指導も含めたサポートもしています。ぜひ、一度、若竹大寿会のサービスをご利用いただければ幸いです。

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